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経営者だからこそ大切にしたい”経営の目的”

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経営者だからこそ大切にしたい”経営の目的”

最終更新日:2024/09/04

みなさんこんにちは!


大阪堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。

先日、あるクライアントさんからの依頼で開催した”実践経営学入門連続セミナー”を通して、考えたことを少しずつ、こちらのコラムに書いていくことにしました。少々お堅い話も出てきそうですが、どうぞお付き合いください。

初回のテーマは「経営の目的」についてです。こんなに大変な経営者稼業。

なぜ、続けているんだろう?なぜ、始めたんだろう?

「経営者だからこそ大切にしたい経営の目的」についてみなさまと一緒に考えたいと思います。

セミナーの対象者は以下のような方々

・連続セミナーの対象者は、経営幹部候補生
・もともと経営に興味があった方
・管理職になったので改めて経営について学び直してみようと考えている方
・上司に受講するように提案してもらった

などいろいろな動機をお持ちのビジネスパーソン向けの講座でした。

ところで経営とは?!

さて、本日のお題の「なんのために経営をしているだろう?!」について、みなさんの中では、どのように捉えていますか?

・家族や従業員を養う手段
・地域社会への貢献
・顧客からのリクエストに応えること
・単に仕事だし、もう生活の一部。長年これしかやってないから、理由なんて考えたことがないから、そういえば、もうわからんようになってる。

なんていろいろな声がありそうです。

当社の先代・創業者も

「もう、体が勝手にやってて、辞め時がわからんのや」と言っていたことが思い出されます。

国語辞典などで「経営する」を調べると・・・

「力を尽くして物事を営む、あれこれ世話や準備をする、継続的・計画的に事業を運営する」とあります。


「経営する」は、英語では「manage」これを英英辞典で調べてみました。
すると、同じような言葉が書かれていました。

「ビジネスや部門、それにかかわる人、設備、資金を指揮または管理する行為」
「特に一生懸命努力した後に、難しいことに成功する。問題に対処する行為」
「困難な状況で生活することに成功する」

全然、楽しそうな感じではないですね。そりゃ開業率が上がらないですよね・・・。
ひいき目に捉えれば「ビジネスを成功させるために頑張ること、達成感・やりがいがあること」と言えそうです。

事業承継問題は、年間廃業数は500社以上

帝国データバンクさんによると2023年の後継者不在が原因での廃業は、年間に500社以上だそうです。つまり1日2社は、後継者がいないからという理由で、取引先やお客さんにお詫びに回って、廃業手続きをしていることになります。これ以外に、自然消滅的な廃業もたくさんあることが想定できます。

例えば、1階が店舗、2階や3階が自宅になっているお店って自宅最寄り駅の近くにありませんか?
いつのまにか、廃業されてシャッターが閉まったまま。そんなケースが、自然消滅的な廃業かもしれません。

・2023年の「後継者不在率」は53.9%で前年の水準を6年連続で下回っており、「後継者問題」は改善傾向が続いている
・一方で、事業承継「適齢期」とされる60歳代の代表者の後継者不在率は37.7%、70歳代も約3割の企業で後継者が決まっていない。

みなさんは、このニュースを見てどのような考えが頭に浮かびましたか?

「もったいない」
「なんで見つからないんだろう」
「なんでもっと早く動かなかったんだろう」

とお考えの方も多いのではないでしょうか?

経営者は本当に経営をしているのか?

「後継経営者候補を見つけ、育てる」これって、まさに経営者の「経営」という大事な仕事の一つではないでしょうか?
つまり、厳しい言い方をすると、後継者がいないというのは経営者が「経営」をしていなかったと言われてもしょうがない状況ではないかと思うのです。

もちろん、業況の見通しが明るくない、借入が多く代表者保証が入っている、株価が高すぎて譲渡できない、取引先や従業員の関係が密なため、代表を外れにくい。などなど、いろいろな条件が重なって、「後継者不在」に発展してしまったケースが大半だと思います。しかし振り返って考えれば、必ずしも防ぎきれなかったということではないのかもしれません。

経営者がさぼっていたから「後継者不在」になったのでしょうか?

私も、いろいろな経営者にお会いしますが、毎日ゴロゴロして、テレビばっかり見ているような経営者にはお目にかかったことがありません。旅行やグルメ、ゴルフ、高級車などを乗り回して、人生を謳歌しているような経営者も実はごくわずかなのです。決して経営者が何もしていなかったわけでは無いのです。

では、なぜ、経営者が経営をしていないなんて状態が起きてしまうのでしょうか?

それは、経営者が現場仕事をやりすぎだからです。

毎日、一番早く出社して、一番最後までいる。
くたくたになるまで働いている。
もしかして、あなたは、そんな経営者ではありませんか?

そうなんです。経営者は、業務ではなく、経営をすることが仕事なのです。

現場に入って、顧客満足度を高めるような接客だったり、商品・サービスの品質向上に精を出すことももちろん大切な仕事なのですが、おなじくらい経営にも力を入れていただきたいのです。

あなたは、経営者として最近どんなことをしましたか?

経営者の仕事とは?

経営者の仕事は、多岐にわたります。もっとも重要なことは、理念・ビジョンなどを策定し、従業員のみなさんに、経営の方向性を指し示すことです。そして、その理念を達成するために必要な成長戦略と成長戦略実現のための機能別戦略を検討し、意思決定することです。

図にするとこんな感じです。

今回は、この図の最上位に位置する「経営理念」「ビジョン」についてお話したいと思います。

理念・ビジョンは必要か?

企業によっては、経営理念・ビジョンではなく、「パーパス」(存在意義)という言葉を使っている企業も増えてきました。微妙な違いはあるのですが、大きな意味では経営の目標、航海の船乗りが目指す北極星のような存在です。

例えば・・・

ソフトバンクグループでは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を掲げています。

また、京セラでは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること

私が30年以上、お世話になっていた株式会社ダスキンでは・・・

内容は、それぞれ違いがありますが、このような世界観を実現するために集まった組織であり、経営者の決意なのです。

最近は、「パーパス」と呼ばれることも

最近聞く機会が増えた言葉「パーパス」についても調べてみました。経営理念とどう違うのでしょうか?

二つの違いを比べることで、それぞれについて理解していきたいと思います。

経営理念は主に企業内部の指針や行動基準を定めることが多く、パーパスは企業の社会的な役割や貢献を強調する。

経営理念は具体的な行動指針や価値観に焦点を当てるのに対し、パーパスは企業の存在理由や社会的使命といった抽象的な概念を含むことが多い。

経営理念は企業の業務や戦略に直接影響を与えるが、パーパスは企業のブランドイメージや社会的信頼性に影響を与える。

つまり、「経営理念」や「ビジョン」は、企業の存在意義や使命(現在の行動指針)を示したり、将来の理想的な姿や達成目標(未来の目標)を宣言しているように感じます。

一方で、パーパスは、最近のトレンドを取り入れ、社会への貢献の意義や自社の社会的な使命を宣言しており、サステナブル(持続可能性)を強く意識しているところが特徴的です。

いずれも役割は、同じだと感じます。具体的には、「自分たちの組織は、なんのために集まっているのか?」「自分たちは、何を目的にしている会社か?」「どんな行動指針を持つ会社か?」について、社内の従業員さんや経営者自身の行動に一貫性を持たせるための宣言と言えます。
さらには、取引先やお客さんにも知ってもらうべき言葉なのです。

なぜ、経営の目標が必要なのでしょうか?

ところで、みなさんは、「組織の三原則」という言葉をご存じでしょうか?
バーナード博士が提唱している理論なのですが、


・共通目的F
・貢献意欲
・コミュニケーション

この3つのどれかが欠けてしまっても組織は成り立たないという理論です。

つまり、この共通目的が「経営理念」、「ビジョン」、「パーパス」というわけです。

この場合の組織には、従業員だけでなく、顧客や取引先も含んでいると考えてください。なぜなら、顧客や取引先も、共通目的や貢献意欲、コミュニケーションを伴ってあなたの会社と取引しているのです。他の会社でなく、あなたの会社を選んで取引しているのです。


経営理念がない、あるいはわからない。そんな会社と取引して、広い意味での組織の一員になろうとする企業や顧客は、ごくわずかなのです。

まとめ

今回は、経営とは何か?その最上位に位置付けられている、そもそもの経営の目的である理念について一緒に学んできました。
繰り返しになりますが、たった一人の事業でも組織はあります。つまり、経営理念は必要なのです。今一度、起業した時の想いを振り返ってみてください。
いろいろな意思決定がシンプルになると思います。

とはいえ、「そこまで、しっかり考える暇もなく、ここまで来てしまった」「なんとなく、頭にはあるけど、言語化できていない」
経営者が多いことも事実です。
ぜひ、経営理念をテーマに一緒にブレーンストーミングしてみましょう。


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中小企業診断士

山本 哲也