みなさんこんにちは!
大阪堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
今回のテーマは「機能別戦略」についてです。
今回は、
「最近、少し人が育ってきて順調だけど何かしなきゃ。」と感じている経営者
「事業開始から、ずっと一生懸命やってきたけど、ずっとしんどいなぁ」とお感じの方
「チームを任された。自分たちのチームは、これから、どんな方針で活動していけば良いのだろう」と考えておられる経営幹部の方々など
頑張りたいけれど、頑張る方向性を見つけられていない皆様に向けての記事です。提案は、がむしゃらに頑張るのではなく効率よく戦いましょうというものです。そのために必要となる機能別戦略についてお話します。

戦略とは?
早速ですが、今、自社にとって必要な戦略とはどんなものとお考えでしょうか?
戦略なんて大それたことは自分たちには関係のない話だ、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、大きな誤解です。
以前、別のコラムでは、”成長戦略”に限定して、詳しくお話しました。
成長戦略とは、自分たちがどのように成長していくかについて、その道順やおおよそのルートを明らかにすることです。例えば、電車なのか、車なのか、自転車なのか、徒歩なのか?または、それらの組み合わせなのか?のようなものです。
実際の成長戦略の方向性は、商品・サービスの軸と、顧客の軸によって大きく4つに分かれています。
- 市場浸透戦略:既存の商品・サービスを既存のお客様に、長い期間たくさんお届けする。
- 新市場開拓戦略:既存の商品・サービスを新しいお客様に届ける。
- 新製品開発戦略:新しい商品・サービスを既存のお客様に届ける。
- 多角化戦略:新しい商品・サービスを新しいお客様に届ける。
このように、成長戦略では、競合他社と戦わないために、もしくは、自社の得意な方向に絞って頑張ることで、無駄なく簡単に競合に勝てたり、お客様に喜んでもらえたりするような、そんな活動を考えるものです。
では、機能別戦略とはどのようなものなのでしょうか?
機能別戦略とは?
「機能別戦略」
戦略とは、自社が得意な方向に絞って、頑張ることでした。
では、”機能”とは、なんでしょうか?
ずばりそれは、会社の機能と考えてください。
従業員数や売上の大小に関係なく、企業には、いろいろな機能があるはずです。
- 「人を採用し、教育する」機能
- 「仕入れる」機能
- 「作る、加工する」機能
- 「売る」機能
- 「お金の計算をしたり、分析したりする」機能
- 「お金を借りたり、返したりする」機能
つまり、機能別戦略とは、成長戦略(成長の方向性)を成功させるために、それぞれの機能をどのように働かせるか?についてのお話なのです。
老舗和菓子店を例に
例えば、和菓子店を思い浮かべてみましょう。
そのお店は、数十年にわたり地元の人々に愛されてきましたが、毎年のように変化するスイーツの流行をうまく取り入れることができずにいました。常連のお客様の高齢化とともに、売上が徐々に低下し、社長の給料を捻出することも厳しい状況になっていました。
そこで、既存の商品の見せ方を変えて、新しいお客様を取り込む方向で頑張ろうと考えました。これは、先述の成長戦略のどれにあたるでしょう?
そうです。新市場開拓戦略になります。
では、次の質問です。
どうやって新市場を開拓していけばよいのでしょうか?
そこで必要となるのが「機能別戦略」です。
機能別戦略とは、繰り返しになりますが、成長戦略を実現するために、各機能(販売・マーケティング、生産、人事、財務など)別にどのように活動するか?を考える作業でした。
つまり、和菓子店の新市場開拓を成功させるために必要な、各機能の活動とはどういうものがあるでしょう?ということを考えたいのです。

機能別戦略はどんなことを考えれば良いのか?
必要な機能別戦略を考えるにあたり、ここでは、実現可能かどうかはさておき、わかりやすいたたき台としてのアイデアを用意しました。
人事戦略(人を採用し、教育する機能)
新市場開拓ができる人材を準備するにはどうすればよいか?について検討します。例えば、営業経験のある人を雇い入れたり、研修をすることで、お店のスタッフに営業活動ができないか?について検討します。
購買戦略(仕入れる機能)
新しいお客様向けの販売が順調に進んだ場合、より、低コストで安定的に和菓子の材料を仕入れるために、どうしたらよいか?について検討します。例えば、仕入先に事前に数量を伝えたり、大量発注によるコストダウンをお願いしたり、仕入先を新たに開拓したり、などが、その例です。
マーケティング戦略(売る機能)
ネーミングや、パッケージを変えたり、PR方法を検討したり、はたまた、近くのスーパーと提携して、イベント販売などを企画したり、などを考える必要があります。つまり、どこの誰に、何を、どんな仕掛けで、どれくらいの量を、いくらで販売するのか?を考えることになります。また、SNSでの発信などもここに含まれてきます。

実際の現場は?
ここまでのところで、成長戦略と機能別戦略について大体のところは、理解いただけたのではないでしょうか?
と言っても、このような学校で習うような定義や考え方を理解したところで、たくさん従業員のいるような会社の話だな・・・なんて考えが頭をよぎった経営者も多いかもしれません。
確かに、新たな取り組みのためにわざわざ必要な人材を雇い入れたり、新たな取引先を開拓したりすることは簡単ではありません。
しかし、うまく事業を進めておられる経営者のみなさんは、このあたりをうまく理解して、行動されています。つまり、「できない」と決めてしまわず、「当社らしい解決策がもし、あるとすれば、どんな方法だろう?」とご自身に問いかけているように感じます。
一方で、私たちのような数名規模でビジネスをしている身としては、戦略と業務を同時に実行する必要があり、頭の切り分けが難しいものです。いつも通り、きちんとした商品を作りながらも、新しい顧客を探し、従業員さんのお世話もする。そんな毎日ですから。
では、上手な経営者がやっている、「自分への問いかけ」ってどんなことなのでしょう?
こんな毎日を変える解決策は?
それは、多重人格者になることです。
スケジュールを立てたり、朝、今日の予定を確認するときに、それぞれの仕事がどの機能の仕事なのかをゲーム感覚で、自分で自分に問いかけながら確認してみましょう。
例えば、和菓子を作る時間は、「生産戦略を実行する工場長」、イベント販売する時間は「マーケティング戦略を実行する営業部長」といった感じです。
「はぁ?そんなこと?!」と思った方も多いかもしれません。
しかし、人間とは、不思議なもので、こんなちょっとしたことで思考が切り替えられるのです。だまされたと思って、一度試してみてください。特にお金も時間もかかることでもないので、やってみて損はないと思います。
そもそものところへ立ち返ってみましょう。
毎日全力投球の私たちがなぜ、うまくいかないのか?
それは、マルチタスクで、いずれも中途半端になっていたり、やるべき経営判断や重要なテーマが後回しになっているからです。
厳しいことを言うと、経営者の仕事ができていないからなのです。
私からの提案は、いたってシンプルです。
・経営者が経営者の仕事をすること。
・少数精鋭でそれを実現するために、マルチタスクの日常のなかでも、「いま、自分は、どの部署の仕事をしているのか?」ということを意識することです。
これにより、経営者が優先すべきことが見えてきますし、いろいろなものの見方が変わるはずです

まとめ
今回は、現状の閉塞感を打破し、事業を新たな成長軌道に戻すために、経営者が経営者の視点を持つことの重要性をお伝えしました。
そして、これは従業員の人数とは関係がありません。
この視点を持つ経営者こそが、いつも楽しそうにしている経営者なのです。
もちろん、「自分は和菓子を作っている時が一番ハッピー」という気持ちは、私も同じですから痛いほどわかります。しかし、それでは次のステップに進むことはできません。
もし「なるほど」と感じていただけたなら、
今日から「今の自分の役割は工場長?営業部長?経営者?」と問いかけ
成長戦略の実現に向けて最高の努力をする担当者を演じてみてください。
そして、自分自身を経営者として指導、采配してみてください。きっと、視点が変わるはずです。
今回は抽象的な解決策となりました。
ぜひ御社に合ったオーダーメイドの解決策を一緒に考えさせてください。
ご連絡をお待ちしております。
中小企業診断士
山本 哲也