「こんなに、いい商品なのになぜ売れない?」〜と考える経営者が見落としているたったひとつのこと
みなさんこんにちは! 大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
本日は、私たちが一番大切にしている「事業開発・商品開発」に関するお話をさせていただきたいと思います。
新規事業に取り組んでいる方、これから挑戦しようと考えている方、あるいは既存事業の中で新たなチャレンジを模索している方にも役立つ、大切なテーマだと考えています。
あなたの商品が売れない理由とは?

「うちの商品は、こんなに手をかけて作って、品質もいいのに、なぜ売れないんだろう?」 「競合よりも価格も安いし、機能だって充実しているのに…」 こうした悩みを持つ経営者や事業者さんとお仕事をする機会がよくあります。
特に新しい商品やサービスを開発したとき、「これなら絶対に売れるはず」とWEBサイトに掲載したり、チラシを作成したり、大きな費用を使って販促をしたものの、思ったように売れず頭を抱えるケースにたくさん遭遇してきました。
もちろん、商品・サービスにだけ問題があるケースは少なくて、いくつかの原因が絡まっていることが多いのですが、ここでは、「商品・サービスに原因があるケース」について一緒に考えてみましょう。
コスパだけでは買わない
お客様が商品を選ぶとき必ずしも「機能が優れている」「価格が安い」という理由だけで購入を決めるわけではありません。
多くの場合、お客様自身すらも気づかない間に「これを買ったら、自分の生活や気持ちがどう変わるか?必要?」と頭の中で妄想し、その結果に価値を感じたり、さらには、「もう我慢しきれない。欲しい!!」となったときに購入を決めるのです。
とてもよく引用される事例ですが・・・
高級腕時計を買う人の目的は「時間を知ること」だけではありません。その時計をつけることで「成功者としての自信」や「周囲からの評価」を得られることに価値を感じているのです。
つまり、商品やサービスが選ばれるためには、単に「機能やスペック」をアピールするのではなく、「お客様にとっての価値(提供価値)」を伝えることが重要なのです。
では、あなたの商品の提供価値とは一体何でしょう?どこにあるのでしょうか?
提供価値とは?
商品やサービスが選ばれる理由は、「性能がいいから」「安いから」だけではありません。お客様が、本当に求めているのは、その商品を手にすることで得られる「提供価値」なのです。
大企業がよくやる間違いに「オーバースペック」というものがあります。技術開発力が強みだとばかりにいろいろな機能を盛り込みすぎた製品開発です。
Googleが、2013年にスマートグラス「Google Glass」を発表し、大きな話題となりました。すでに販売終了しているので知らない人も多いかも知れません。
Google Glassは、頭にかけることで情報を表示し、カメラや音声コントロールを備えた革新的な製品でした。しかし、一般のユーザーが実際に必要とする機能や用途よりも圧倒的に多すぎたこと、ビジュアルが仰々しく街中での普段使いがしづらいデザインが原因で、2015年にあえなく販売終了となりました。機能は素晴らしい商品だったのですが、残念ながら情緒的な価値(所有したい、身につけて外を歩きたい)を満たすには程遠い製品だったことが原因ではないかと考えます。
機能的価値とは?情緒的価値とは?

提供価値には、大きく分けて「機能的価値」と「情緒的価値」の2つの側面があります。
機能的価値とは?
機能的価値とは、商品やサービスが持つ客観的な特長や利便性のことを指します。
例えば、スマートフォンを例にすると、
次のようなものが機能的価値にあたります。
- 高性能カメラ(鮮明な写真が撮れる)
- 大容量バッテリー(長時間使用できる)
- 防水機能(水がかかっても壊れにくい)
こうした機能的価値は、お客様にとって重要な判断基準のひとつではありますが、それだけでは選ばれ続ける商品にはなりません。なぜなら、競合も同じような機能を提供している場合が多いですし、現状でも特に困らず日常生活をできているしなぁ・・・という心理が働くからです。
情緒的価値とは?
一方で、情緒的価値とは「その商品やサービスを使うことで得られる気持ちの満足感」のことです。先ほどのスマートフォンの例で考えると、次のようなものが情緒的価値にあたります。
- デザインが洗練されていて、持っているだけで気分が上がる
- 友人や家族と写真を共有し、思い出を残せる
- ブランドの象徴として、自分のステータスを表現できる
例えば、AppleのiPhoneが多くの人に選ばれる理由は、「カメラ性能がいいから」という機能的価値だけではありません。
シンプルで美しいデザイン
Appleブランドを持つことの満足感
使い心地の良さなど
機能的価値を超えた情緒的価値があるからこそ、多くのファンを生んでいるのです。
サービス業の場合の価値創造
ではサービスの場合はどう考えればよいでしょう?
私の専門分野でもあるサービス業(家事代行・ハウスクリーニング業)では、どのように考えれば良いでしょうか?
サービス業でも同じことが言えます。
例えば・・・
家事代行やハウスクリーニング業界では、家事や清掃分野において、自分たちではできないことややりたくないことをプロが代わりにやってくれるサービスです。
- 機能的価値:片づく・きれい・衛生的・節約
- 情緒的価値:ストレス解放・家族時間の創出・プロのノウハウ学習。その時間を家族や自分の大切な時間として活用できることや、プロのノウハウを学ぶことができる。などがありそうです
近年の市場では、「機能の差別化」がどんどん難しくなっています。
多くの製品やサービスが一定の水準をクリアしており、単に「高性能・低価格」をアピールするだけでは、お客様に選ばれる理由にはなりにくいのです。
そのため、競争力のある商品やサービスを作るには、「機能的価値」+「情緒的価値」を組み合わせることが不可欠 になります。
では、どうすれば提供価値を掘り下げて、お客様にしっかり伝えることができるのでしょうか?
それには、自分たちではできないことを代わりにしてくれることだけにとどまらず、プロのノウハウを学べることや、新たに作り出されたプライベートの時間を大切にできることや、さらには、想い出深い時間にできることなども情緒的価値と言えそうです。
機能だけでは売れない時代に
近年の市場では、「機能の差別化」がどんどん難しくなっています。
その背景には、多くの製品やサービスが、一定の水準をクリアしており、単に「高性能・低価格」をアピールするだけでは、お客様に選ばれる理由にはなりにくいためです。
ですから、競争力のある商品やサービスを作るには、「機能的価値」+「情緒的価値」を組み合わせることが不可欠 になります。
では、どうすれば提供価値を掘り下げて、お客様にしっかり伝えることができるのでしょうか?
現代の市場では、「機能の差別化」がどんどん難しくなっています。
多くの製品やサービスが一定の水準をクリアしており、単に「高性能・低価格」をアピールするだけでは、お客様に選ばれる理由にはなりにくいのです。
そのため、競争力のある商品やサービスを作るには、「機能的価値」+「情緒的価値」を組み合わせることが不可欠 になります。
では、どうすれば提供価値を掘り下げて、お客様にしっかり伝えることができるのでしょうか?
提供価値を掘り下げる3つの視点
① お客様が実現したいことを考える(商品ではなく体験に注目)
まず大切なのは、「商品ができること」ではなく、「お客様がそれを使ってどんな体験を得るのか?」 に注目することです。
例えば、今度の書籍に登場する「花の定期お届けサービス」を考えてみましょう。
×「毎月新鮮な花をお届けします!」(商品機能の説明)
〇「部屋に彩りが加わり、暮らしに豊かさを感じられます。」(お客様の体験を表現)
お客様は、花そのものを買っているのではなく、「花があることで生まれる気持ちの変化」 を求めているという話題が取り上げられています。
このように、「お客様が実現したいこと」を言語化すると、提供価値が明確になります。
② 「うれしいこと」「困っていること」を整理する(感情を意識)
次に、お客様が「うれしい」と感じるポイントと、「困っている」と感じるポイントを整理してみましょう。
単に「便利ですよ!」とアピールするのではなく、「あなたのこんな悩みを解決します」と伝えることで、共感を得られやすくなります。
③ 情緒的価値を強化する(気持ちの変化を生む要素を考える)
最後に、「お客様の気持ちの変化」を意識することが大切です。
例えば、カフェを経営しているとしましょう。
×「こだわりのコーヒーを提供します!」(機能的価値のみ)
〇 「自分だけの特別な時間を過ごせる空間を提供します。」(情緒的価値を意識)
お客様は「コーヒー」を求めているのではなく、「リラックスできる時間」や「気分転換ができる場所」を求めている のです。
この視点を持つことで、より多くの人に「選ばれる理由」が生まれます。
まとめ
ここまでお話ししたように、単に「機能や価格」をアピールするだけでは、商品やサービスは選ばれにくくなっています。
お客様が本当に求めているのは、「商品そのもの」ではなく、「それによって得られる価値」 です。
1.「機能的価値」+「情緒的価値」を組み合わせることで、より魅力的な商品・サービスになる
2.「お客様の体験」を考えると、提供価値が明確になる
3.「お客様の悩み」を解決できると、共感されやすくなる
提供価値を見直すことで、今まで埋もれていた自社の強みが見えてくるかもしれません。
「でも、実際にどうやって提供価値を整理すればいいのか?」と感じた方もいるでしょう。
そこで、次回の記事では 提供価値を具体的に整理する方法 をご紹介します。
さらに、書籍では「提供価値を掘り下げ、ビジネスの魅力を最大化する実践方法」を詳しく解説 しています!
もし、
自社の提供価値を見直し、売れる理由を明確にしたい
価格競争に巻き込まれず、独自の強みを活かしたい
お客様に「これが欲しかった!」と思われる商品・サービスを作りたい
と考えているなら、ぜひ 本書を手に取ってみてください!
➡ 詳しくは3月上旬発刊予定の「ストーリーで学ぶ新規事業開発」も合わせて読んでみてください。
詳細はAmazonまたはKindleで発表しますので、ぜひチェックしてください!ここまでの流れを整理し、提供価値を検討するためのテンプレートも掲載されていますので、一層理解が深まると思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
商品・サービスは自分視点になりがちです。ところが、ヒット商品は、顧客のことを考え尽くしたその先にあります。ぜひ、じっくりと「自分たちの提供価値」に向き合ってみてください。
それでもなお、課題やお悩み・モヤモヤが解消しないようでしたら、一緒に考えさせていただきたいです。無料経営相談制度をお気軽にご利用ください。