みなさんこんにちは!
大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
本日は、前回に引き続き、私たちが一番大切にしている「事業開発・商品開発」に関するお話をさせていただきたいと思います。
新規事業に取り組んでいる方、これから挑戦しようと考えている方、あるいは既存事業の中で新たなチャレンジを模索している方にも役立つ、大切なテーマだと考えています。
提供価値を考えたけれど、整理できない?
前回の記事では、「なぜいい商品なのに売れないのか?」をテーマに 「機能的価値」と「情緒的価値」を組み合わせることの重要性 についてお伝えしました。
しかし、実際に「自社の商品やサービスの提供価値は何か?」と考え始めると、意外と整理できずに悩んでしまうことがあります。
- ✅ お客様にとっての本当の価値って何だろう?
- ✅ 機能的価値と情緒的価値のバランスはどう考えればいい?
- ✅ 提供価値を明確にすることで、どんなメリットがあるのか?
こうした疑問を解決するために、今回は 提供価値を整理し、ビジネスの軸を明確にする方法 をご紹介します!
提供価値を整理する3つのステップ

提供価値を考えるときに陥りがちなのが、「とにかく良さをアピールしよう」として、情報が散らかってしまうことです。
そのため、お客様視点に立って「買う理由」を整理すること が重要になります。
ここでは、提供価値を明確にするための 3つのステップ をご紹介します。
① 既存の顧客データを活用する
(お客様の声をもとに整理する)
「提供価値を考える」と言っても、ゼロから考えるのは難しいものです。
私がいつもお願いしているのは、
「すでに購入したお客様が『なぜ選んだのか?』」です。
これは、簡単かつかなり正確に情報をキャッチすることができる方法です。一方で簡単すぎるためか、みなさんなかなかやりたがらない方法で、一種の裏技とでも言えるかも知れませんね。
- ✅ 購入者アンケートやレビューを確認する
- ✅ 問い合わせやクレームの内容を整理する(困りごとを知る)
- ✅ SNSや口コミの反応をチェックする(リアルな声を集める)
購入者アンケートより
「仕事が忙しくて美容室に行く時間がなかったが、夜遅くまで営業しているので助かる」
「職場(自宅)に近いから」「読みたい雑誌がある」
口コミサイトより
「他の美容室では伝わらなかった希望のスタイルを、丁寧なカウンセリングでしっかり実現してくれた」
「美容師さんのお話が楽しい」「店内の家具がおしゃれ」
など、事業者側からすると「そんなこと?」と思うことが多かったり、サービス業だと人に依存することや、他のスタッフに水平展開することが難しい内容だったりするケースも少なくありません。
よくあるのが、「他店よりもお得に!」と、薄利多売を目指して頑張っているのですが、顧客から「安いから」という言葉が聞けないケースです。
なにはともあれ、こうした情報をもとに、「お客様が求めている本当の価値」を整理していきます。
② 「買う理由」を明確にする
(機能ではなく、価値を言語化)
次に、お客様が「なぜこの商品・サービスを選んだのか?」を明確にしていきます。
ここで大切なのは、「商品の機能を説明する」のではなく、「お客様が得られる価値を言語化する」 ことです。
たとえば、「オンライン英会話サービス」を提供しているとしましょう。
- ❌ 「ネイティブ講師とマンツーマンで学べる」(機能の説明)
- ⭕ 「海外出張でも堂々と英語が話せる自信がつく」(お客様が得られる価値)
このように、「どんな機能があるか?」ではなく、「その機能によってお客様がどんな変化を得られるか?」を明確にすることがポイントです。
整理する際には、次のようなフレームワークを活用すると分かりやすくなります。
- ✅ 「〇〇の機能があるから → お客様は△△できる → だから◇◇という価値が生まれる」
例えば、カフェの場合:
「座席に電源とWi-Fiがある → 仕事や勉強が快適にできる → リモートワーカーにとって理想的な作業空間になる」
カフェ側は、ドリンクやフードにばかり意識が行きがちですが、実は、顧客は違うところに価値を感じていることがよくわかる事例です。
東京の高円寺には「原稿執筆カフェ」というちょっと変わった価値を提供しているお店があるそうです。
こちらでは「原稿が終わるまで退店できない」というユニークなコンセプトで話題を集めているカフェです。予約制で、入店時に作業目標を記入すると、オーナーが定期的に声をかけ、お菓子を提供するなど、温かいサポートがあるのも特徴。店内には適度な緊張感が漂い、集中力を高める環境が整っており、ドリンク類は持ち込みもOKとのことです。
次に、お客様が「なぜこの商品・サービスを選んだのか?」を明確にしていきます。
ここで大切なのは、「商品の機能を説明する」のではなく、「お客様が得られる価値を言語化する」 ことです。
③ 逆ペルソナを設定する
(誰に合わないかを考える)
意外に思われるかもしれませんが、「誰にでも合う商品」は、実は「誰にも刺さらない商品」になりがちです。
そこで、「どんな人には合わないか?」 を考えることで、より明確な提供価値を打ち出せるようになります。
例えば、高級スーツブランドを例にすると…
- ✅ ペルソナ(合う人):「ビジネスシーンで品格を求めるエグゼクティブ層」
- ✅ 逆ペルソナ(合わない人):「とにかく安くスーツを買いたい人」
こうして逆ペルソナを考えることで、「自社の商品・サービスが本当に価値を提供できるターゲット」を明確にできる のです。
提供価値を整理することで得られるメリット

ここまで提供価値を整理する方法を解説してきました。
では、提供価値を明確にすることで 具体的にどんなメリット があるのでしょうか?
- ✅ マーケティングがしやすくなる(ターゲットに合わせた訴求ができる)
- ✅ 価格競争に巻き込まれにくくなる(機能だけでなく、独自の価値で差別化)
- ✅ お客様が共感しやすくなる(「自分のための商品だ」と思われる)
例えば、先ほど紹介した「原稿執筆カフェ」は、フードやドリンクで勝負するのではなく、「締め切りまでに良い原稿を書くための場所」 という価値を提供することで、ファンを獲得しています。
あなたのビジネスも、「単なる機能や価格競争」ではなく、「提供価値を明確にすること」で、より選ばれるブランドになれるかもしれません。
まとめ:「あなたのビジネスの本当の価値」を明確にしよう!
提供価値を整理することで、お客様に選ばれる理由が明確になります。
ぜひ 、5月上旬発刊予定の「ストーリーで学ぶ新規事業開発」 をご一読いただき、あなたのビジネスの本当の価値を掘り下げてみてください!

詳細はAmazonまたはKindleで発表しますので、ぜひチェックしてください!ここまでの流れを整理し、提供価値を検討するためのテンプレートも掲載されていますので、一層理解が深まると思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
商品・サービスは自分視点になりがちです。ところが、ヒット商品は、顧客のことを考え尽くしたその先にあります。あせらずじっくりと「自分たちの提供価値」に向き合ってみてください。
それでもなお、課題やお悩み・モヤモヤが解消しないようでしたら、一緒に考えさせていただきたいです。無料経営相談制度をお気軽にご利用ください。