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あなたのビジネスアイデアは、なぜ誰にも伝わらないのか?

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あなたのビジネスアイデアは、なぜ誰にも伝わらないのか?

最終更新日:2025/04/16

共感される企画は“課題の発見”から始まる

みなさんこんにちは!


大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
本日は、前回に引き続き、私たちが一番大切にしている「事業開発・商品開発」に関するお話をさせていただきたいと思います。

新規事業に取り組んでいる方、これから挑戦しようと考えている方、あるいは既存事業の中で新たなチャレンジを模索している方にも役立つ、大切なテーマだと考えています。

あなたのグッドアイデアは、なぜ、上司やチームメンバーに伝わらないでしょう?

新規事業や商品開発、業務改善やイベント企画まで――
さまざまなビジネスの場面で

「いいアイデアだと思ったのに、なぜか周りに伝わらない」

「お客様に響かない」という壁にぶつかった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

私自身もこれまでたくさんのアイデアを発案しては、発信してきましたが・・・なかなか理解してもらえず落ち込んだことが何回もありました。

「みんなわかってないなぁ・・・」とか

「僕の話をしっかり聴いて、よく考えてみてよ」とか、他責にばかりする日々でした。

「どうして誰もわかってくれないんだろう?」他者にアイデア伝わらないその理由を必死に考えました。

どうもその原因は大きく分けて2つありそうです。


まず、多くの人が「斬新な発想」や「便利な仕組み」を出発点に企画を練ろうとします。つまり、厳しい言い方にはなりますが、自分のアイデアに酔っている状態で、視野が極端に狭くなっています。

本当に企画を前に進めたいなら、最初に向き合うべきは“顧客(相手)”と”顧客(相手)の課題”です。

そして、次に重要なのが、伝え方です。
俗に「エレベータピッチ」と呼ばれるもので、”端的に要点を相手に伝え、動かすプレゼンの最重要ポイント”のことです。

「伝わらないアイデア」からの脱出法

他者に伝わらない・第三者から共感されないアイデアの多くは、上述の通り「解決策から先に考えている」ことや自分のアイデアに酔っていることが多いのではないでしょうか?

例えば、あるフラワーショップの店長が、新しく観葉植物の取り扱いをオーナーに提案をしました。

彼女は「植物が室内にあると癒される」から、きっと需要があるはずと考えました。

しかし、オーナーの反応は冷ややかです。

「いまさら、そんなもの売れないだろう。もうちょっと気の利いたアイデアはないの?」

ところが、彼女は、地道にお客様の話を聞きながら、次第に「単なる観葉植物のお届け」ではなく、「生活の中に癒しを取り入れる」という顧客課題に対する解決策の一つとして”観葉植物の提供”というアイデアにたどり着きます。

そのことをきっかけに商品やサービスのラインナップ、売り方の方向性などを大きく変化させることに成功しました。これによって、ようやく、オーナーやスタッフの共感を得られるようになったのです。

このように、「顧客が感じている課題」にしっかり向き合ったとき、アイデアは“伝わる”ものに進化するのです。

顧客課題に向き合う3つの視点

一方で、顧客の課題を見つけることは簡単ではありません。

どうしてでしょう?

その理由は、たったひとつ。残念ながら私たちは、「顧客ではないからです。」

「なんだよー」となってしまいましたか?

そこで、ここからは、少しでも顧客の気持ち・考えに近づくために私たちが努力しなければならないことをお伝えしますね。


本当に意味のある“顧客課題”は、次の3つの視点を持つことでキャッチしやすくなります。

① それは、お金を払ってでも解決したい課題か?

私たちが優先的に取り組むべき顧客課題とは、「ただの不満やモヤモヤではなく、対価を払ってでも解決したい「痛み」を伴う課題」であることが重要です。

“便利そう”ではなく、“今すぐ何とかしたい”に刺さるかどうかを見極めましょう。

例えば、短時間で低料金で簡単に身だしなみを整えたいビジネスパーソンなどのニーズに応えたのが、「10分カット」です。最近は、毛染め・カラーだけでカットをしない美容院も見かけるようになりました。

それまでは、散髪は、行きつけのお店に行くもの。カラーは高いもの、または、自宅のお風呂で頑張ってやるもの、でした。それを解消したのがこれらの新しいビジネスモデルです。

② 十分な市場規模があるか?

課題の深さと同時に、その課題を持つ人の数にも目を向けます。
ニッチすぎて規模が小さければ、持続可能なビジネスにはなりません。一方で、すでにみんなが不満を持っており、顕在化されている大きな市場は、大企業が目をつけています。「確かに不満だけど、こんなもんでしょ?」とあきらめているものに注目しましょう。

例えば、最近の事例だとフードデリバリーなどが良い例です。

以前は、出前は、お店が人を雇用して自前で配達するもの。コンビニは、自分で買い物に行くところ。雨の日や年寄り・こどもが居て外出しずらい人などは利用できず我慢していました。それを解消したのが各種のデリバリーサービスです。

③ 継続性があるか?(LTVの視点)

一時的なブームではなく、習慣やライフスタイルに根差した課題であるかを確認しましょう。
長く続く価値があれば、リピートや口コミによる広がりも期待できます。これは、非常に難しいテーマですので、浮かんだアイデアをブラッシュアップする段階で継続的に検討することが重要です。

例えば、プリンターなどの事務機は、できるだけ低価格で販売し、トナーやインクなどの消耗品やメンテナンスを購入してもらうことで継続的な大きなビジネスを成立させています。

この3点を満たす課題こそが、「選ばれる理由」の土台にも繋がっていきます。そして、あなたのアイデアの商品・サービス化が実現し、売れるコンテンツとなるのです。

解決策より先に、課題を考える

では、これら3つのポイントを掘り下げるためにはどうすればよいでしょうか?

顧客課題をしっかりとらえるためのツールとして”ペルソナ設計”という考え方や”カスタマージャーニーマップ”などの便利なフレームワークがあります。それらをチームで活用する方法が有効です。

ペルソナ設計とは、

商品・サービスを利用する“理想の顧客像”を具体的に設定する手法で、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観などを詳細に描きます。

カスタマージャーニーマップとは、

その顧客が商品・サービスを知り、検討し、購入し、体験するまでの一連のプロセスを時系列で可視化するものです。さらには、その後、家族や友人に自分の体験を話すクチコミのプロセスも含めて検討します。

どんどん長くなってしまうので、ここではこれくらいの簡単な説明にとどめておきます。また、別の機会に詳しく一緒に勉強したいと思います。

では、本題に戻りますね。

これら二つのフレームワークは、とても有効ですが、使い方を間違えると本質を見失ってしまうリスクもあります。

私たちがやりがちな失敗は、

無意識のうちに「この商品が売れるようにするにはどんな人を想定すればよいか?」という順序になってしまうことです。

これでは「課題に合った解決策」ではなく、「解決策に合った課題」を探していることになりますよね。

ペルソナは顧客像の「創造」ではなく「発見」

カスタマージャーニーは「理想的な購買行動の演出」ではなく「現実の困りごとの可視化」にこそ意味があります。

たとえば、家庭用電気ケトルが売れるようになった背景には、

  • ・共働き世帯の増加
  • ・在宅ワークや時短調理のニーズの高まり

といった「社会変化に伴う生活課題」があります。

家庭用電気ケトルは、単に便利な商品だから売れたのではなく、顧客課題にフィットしたからこそ

顧客は、

「これは便利だ!」

「こんなのが欲しかった!」

と感じ、その結果として、大ヒットしたのです。

これがまさに、「顧客課題」から解決策が導き出された好事例です。

つまり、「どんな人がどんな行動をするか?」の前に、「その人は何に不満を持っているのか?」を深く掘り下げることが、企画の出発点になるのです。

行動から始まるアイデアの進化

課題を見つけるために必要なのは、情報収集よりも“行動”です。

  • ・お客様と話す
  • ・観察する
  • ・現場で困っていることを見つける

こうしたリアルな接点の中にこそ、表には出てこない「本音の課題」が眠っています。つまり、顧客にヒントをもらうのではなく、顧客の行動の中から“発見”することが、最も価値のあるアイデアの源泉なのです。

例えば、私がクライアントによく提案している手法にインタビューがあります。

つまり、直接お客さまに聞いてしまうのです。

  • 「なぜ、よそでなくうちで買ったのか?」
  • 「なぜ、〇〇ではなくこれを買うのか?」
  • 「見て、知って、すぐに購入を決めましたか?」
  • 「もし、躊躇したり、検討したとしたら、それはどんなことですか?」
  • 「躊躇したり、検討した上で、最後に購入を決めたポイントはなんですか?」
  • 「購入した商品・サービスは、10点満点で何点ですか?10点でないとすれば、どんな不満がありますか?」

読みやすくするために端的な言葉を使いましたが、普段、お客さまと世間話をするように変換して進めてくださいね。また、自然なコミュニケーションがとれないと顧客が違和感を持って、離れてしまうなんてことになるかもしれませんので、しっかり社内でトレーニングをしてから実行してください。

このインタビューのポイントは、

顧客が回答した結果にフォーカスするのではなく、どんな言葉を使ったか?どんな表情、どんな声色だったか?など顧客の一挙手一投足を見逃さないように、まさに”世紀の大発見”をするイメージで接することなのです。

まとめ|顧客課題の発見がすべての起点になる

いいアイデアは、“思いつき”から生まれるのではなく、
“誰かの困りごと”を深く見つめたときにこそ生まれるものです。

「伝わらないアイデア」に悩んでいるなら、
それはアイデアの出来ではなく、課題との接点がずれているだけかもしれません。

課題やお悩み・モヤモヤが解消しないようでしたら、一緒に考えさせていただきたいです。

ぜひ、無料経営相談制度をお気軽にご利用ください。

書籍のご案内|課題発見から始めるビジネス企画のつくり方

このコラムの詳しい内容は、 『ストーリーで学ぶ新規事業開発』(5月発売予定) にて、ストーリー仕立てでより詳しく学べます。

書籍では、以下のポイントについて主人公サトコのビジネス奮闘記と共に紹介しています。

  • ✅ 課題の見つけ方
  • ✅ 提供価値の整理方法
  • ✅ ペルソナやプロトタイピングの実践例など

“アイデアはあるけれど、形にできない”と感じている方に、
ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

企画が動き出すヒントが、きっと見つかります。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!