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「それ、本当に”うち”でやるべき?」

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「それ、本当に”うち”でやるべき?」

最終更新日:2025/06/12

あなたのアイデアが反対されるたったひとつの理由

みなさんこんにちは!
大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。

本日も、引き続き、私たちが一番大切にしている「事業開発・商品開発」に関するお話をさせていただきたいと思います。


今回のテーマは、事業開発・商品開発に取り組む方なら一度は経験するであろう疑問


「どうして、いいアイデアなのに反対されるのか?」です。

顧客のニーズも捉えている。

 社会課題にもつながっている。

 それでも「うちがやる必要あるの?」「今じゃないよね」と却下されてしまう。

そんなとき、私たちは何を見落としているのでしょうか?

実はそこに、「経営課題」という大切な視点が欠けているのかもしれません。

 新規事業は「やりたいこと」ではなく「会社がやるべきこと」という視点が不可欠

新規事業や商品企画を考えるとき、多くの人が

「面白そう」

「誰かの課題解決につながりそう」

「これなら売れそう」といった発想からスタートします。

もちろん、その“ワクワク感”はとても大切です。

しかし、それだけでは経営者や上司を動かすことはできません。

なぜなら、新規事業は会社の未来を支える“成長戦略”そのものだからです。

つまり、新規事業では、「やりたいこと」ではなく、「会社がやるべきことかどうか?」が問われるのです。

では、会社が「やるべきこと」とは何か?

それはずばり、“経営課題の解決策”に繋がることです。

  • 既存事業の売上が伸び悩み、新たな価値提案が必要
  • ・自社のメイン市場の高齢化によりニーズの変化への対応が必要
  • ・既存商品が価格競争に巻き込まれている
  • 新しい採用や人材育成が必要になっている

こうした自社の課題と、新規事業がどう結びついているのか?

その結びつきを明確に説明できる企画ほど、社内での説得力が圧倒的に強くなります。

経営課題を見える化する3つの視点

では、自社の経営課題と結びつく企画とは、

どのように作ればよいのでしょうか?

ここでは、実際に私が現場で使っている「3つの視点」をご紹介します。

① 自社の経営資源を知る(ヒト・モノ・カネ・情報・社会との接点・自然)

まずは、自社が持っている「資源」や「強み」を棚卸しすることから始めましょう。


人材、技術、設備、ネットワーク、ノウハウなど活かしきれていない資源が、実はたくさん眠っているかもしれません。

たとえば、空き時間のあるスタッフ、遊休スペース、地域とのつながり。これらを再活用する企画は、経営者にとっても魅力的です。

② 顧客の変化に向き合えているか?

次に考えるべきは、顧客の変化に自社がどのように向き合えているかです。

  • 高齢化によるサービスニーズの変化
  • 若年層の価値観シフト
  • DXやキャッシュレスの普及
  • 時間や移動コストへの感度の変化

こうした変化に対して、「自社は、外部環境からどのような対応を求められているのか?」を整理することが、企画の説得力を高めます。

③ 自社のビジネスモデルにどうつながるか?

そして最後に、新規事業が「自社のどの事業に貢献するのか」を明示することです。

  • 既存顧客の維持・深耕
  • 新規顧客の開拓
  • ブランド力の強化
  • 収益の多角化・リスク分散

これらのいずれかに貢献できる道筋を明確に示すことができれば、経営層にとって「いま、取り組むべき理由」が見えるはずです。

「社内外の期待」に応える提案へ

企画が伝わらないとき多くの人が

「説明が下手だったのか?!」だったり

「あなたがたは私たちのサービスの当事者じゃないでしょ?」

というネガティブな気持ちになりがちです。

しかし、ここまで見てきたような、経営層がGOを出すために必要となる要素をふくめていたでしょうか?

「そもそも当社が、今、他の何よりも優先的に力を入れるべきテーマかどうか?」が明確でないことが多いのではないでしょうか?

経営層は、アイデアの“面白さ”だけで判断しているわけではありません。

  • 今この事業にリソースを投入する“戦略的意味”があるか?
  • 今の人員・予算で本当に動かせるか?
  • 成功した場合のインパクト・リターンはいかほどか?

つまり、「経営の言葉」で語れる企画」になっているかどうかが重要なのです。

あなたの素晴らしい新規事業企画を通すために必要なのは、情熱でも根性でもなく、「経営者視点」なのです。

実際には、情熱も根性も大切なスパイスではありますが・・・

まとめ|経営課題に向き合えば、アイデアは動き出す

顧客のニーズに応えること。
社会課題を意識すること。
どちらも、新しい企画にとって大切な出発点です。

そこに「経営課題との接点」が加わったとき、アイデアは現実的な提案として動き始めます。

「うちがやる意味は?」
「今、やるべきか?」
そんな問いに答えられる企画は、説得力と実現力がまるで違います。

あなたのアイデアが、会社の未来や世界の未来に貢献するストーリーを描けていますか?

経営の視点から自分の企画を見つめ直したとき、
それは“やりたいこと”から“やるべきこと”へと、進化していくはずです。

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