みなさんこんにちは!
大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
今日も、私たちが一番大切にしている「新規事業開発」に関するお話をさせていただきたいと思います。
これまでは、比較的、開発担当の視点や顧客視点で展開してきたこのコラムですが、今回は、少し趣向を変えて、開発担当者が活躍できる組織とはどういう組織なのか?について一緒に考えてみたいと思います。
私の経験談で恐縮ですが、大きな組織の中で新規事業に取り組んできましたので、組織のメリットデメリットは理解しているつもりです。また、社外の仲間の悩み相談などから「うまく行かない組織」とはどんな組織なのか?も見えてきました。
余談ですが・・・。
新規事業開発担当者は、勉強熱心な方が多く、あちこちで社外コミュニティも形成されていましたので、みなさんもぜひ、参加してみてください。いろいろなお話が聞けて、とても役に立つと思いますよ。
新規事業は“3×3”で動かせ
「新規事業の実証実験として小さなテストをしたい。
でも、その許可を得るための上司へのプレゼンのための労力を考えると憂鬱になる。」
「稟議と現場調整で時間が溶けていく」
――そんな嘆きを、耳にしたことはないでしょうか。
前職で新規事業開発に携わっていた私自身も、拙著「ストーリーで学ぶ新規事業開発」の主人公のひとりである中間管理職ヨシノブと同じく、まさにその板挟みに苦しんでいました。
挑戦しようとする現場と、確実な成果(失敗のない実証実験)を求める経営層の“温度差”の板挟み状態でした。
当時は、日々このことに頭を悩ませていました私でしたが、今では「このギャップは仕組み次第で縮められる」と考えています。
今回のコラムでは、第10章の学びをさらに深掘りし、 「3人チーム×3層組織」 というシンプルなフレームで新規事業を回す方法を考えたいと思います。
まずは“3人”で走り出すオープンイノベーション
新規事業を任された私は、最初に「誰と組むか?誰にどんな役割をしてもらうか?」で相当に悩みました。
メンバーが多ければ調整の手間が増え、少なすぎると専門性が偏り、機動力も小さくなってしまう・・・そこで私が参考にしたのが、異能の掛け算で挑む“3人チーム”の考え方でした。
チームに必要なのは『リーダー』、『アイデアマン』、『技術者』の3つの役割。
リーダーは収益性と社内外の調整に目を配り、
アイデアマンは顧客課題に没頭し、
技術者は実装と品質を担保する。
これらの役割が、がっちり噛み合えば、たった3人でも高速に仮説検証を回すことができることに気づきました。
「そんなに人材が豊富なら苦労しないよ・・・」
そんな声も聞こえてきそうです。
もちろん、理想の3人を社内だけで揃えることができれば、ベストです。
でも、たとえ、実現できなくても問題ありません。なぜなら、足りない人材は、外部人材として探せばよいのです。例えば、仕入先などの取引先、副業人材の登録サイト、大学の産学連携窓口など自治体や商工会議所に相談すれば、無料でつなぎこみに協力してくれます。
もちろん適任者と出会うには、それなりの労力と運の力が必要になります。一方で、期間限定・役割限定の協働だからコストは比較的抑えることができるというメリットがあります。
「外に頼るのは敗北ではなく、開発スピードのアップや異文化融合による共創」という発想の転換が大切なのではないでしょうか?
“3層組織”で衝突を避ける

メンバーが揃ったとしても・・・
「上の人間が否定的で・・」
「既存事業や経理部門からコスト部門・お荷物部門扱いをされる・・・」
など、おそらく次の難題が降りかかってくるかもしれません。
これから新規事業に取り組もうとしておられるみなさんには、意外かもしれませんが、実は新規事業開発の最大の阻害要因は、社内にあることが多いのです。
一方で、阻害要因が身近にあるため、その解決策も意外に身近なところにあります。
とは言え、一筋縄でいきません。そこで重要になってくるのが、トップの決断力と実行力です。
私から提案したいのは、会社全体を
「基幹事業推進チーム」
「新規事業育成チーム」
「アイデア発想チーム」
の3層に分ける方法です。
基幹事業推進チームは、収益と顧客満足を守る守備の要。
新規事業育成チームは立ち上げ期の成長を見極める攻撃隊。
そしてアイデア発想チームは、失敗を糧に仮説検証を繰り返す研究開発室。
このようにリフレーミングをし、別チームとしてしまうのです。
ここで安心してはいけません。
大切なポイントは、序列を作らないことです。
とかく、利益を出している基幹事業が偉くて、新規事業やアイデア発想チームは赤字だからダメ。
そんな上下関係がある限り、挑戦は「ついで仕事」になり下がってしまいます。3層それぞれに最適な評価指標を与え、「違う土俵で同じゴールを目指す仲間」と位置づけることで初めて、会社は両輪で走り出します。
新規事業やアイデア発想チームのお仕事は、緊急性は低いが重要度が高い。そういうお仕事なのです。
KPIは立場によって変える
新規事業に携わっておられるみなさんなら、誰しも経験があると思いますが・・・上司から「いつ黒字になるのか」と迫られ戸惑ったりイライラした経験があるのではないでしょうか?
先ほどの3つのチーム分けの視点から見ると、そもそも、この問いそのものがミスマッチということになります。
例えば、研究所や人事部門に売上や利益を求めたりしませんよね?同じようにテスト段階のアイデアに損益計算書を当てはめても意味がありません。だからと言って、いくらでも投資したり、経費を使ったりしても良い。と言う話ではありません。
つまり、新規事業チームとアイデア発想チームには別のメジャーを用意する必要があるのです。
例えば……
基幹事業は売上・利益・継続率といった王道KPIで十分ですが、新規事業は早期から CAC(顧客獲得コスト) と LTV(顧客生涯価値) を追う必要があるでしょう。これらの数値が健全なら黒字化は時間の問題、逆なら早めに舵を切ると判断できるでしょう。
また、アイデア発想チームでは、逆に「失敗回数」「学習サイクル数」を評価してはどうでしょう?短期間で多くの実験を回したチームこそ、次の成長種を発見できるとの理由から考えてみました。
評価ポイントがズレているだけで、現場はそっぽを向いてしまうでしょう。そもそも評価とは、活動の成果や価値を図り、承認する活動ですから、チームの役割ごとに最適化する必要がありますよね?ここをしっかりグリップできれば、衝突は議論へ、議論は前進のエネルギーへ変わるのではないでしょうか?
変革はステップバイステップで

とはいえ、すぐに変えられないのが組織です。理想の姿は、ステップバイステップで目指しましょう。
・社内棚卸し
既存人材をリーダー・アイデアマン・技術者の視点でマッピングし、人材不足と考えられる領域を可視化しましょう。
・外部連携ガイドラインの整備
足りない専門性は期間契約で補う前提を明文化し、役員決裁を簡素化しておきます。なぜなら、新規事業ではスピードが重要になります。課題が明確になり、差し迫った状態で経営者に決裁をさせるのは気の毒ですし、判断を誤り勝ちだからです。
・チーム別、3種類のKPIの経営会議承認
各チームの成果指標を明らかにし、経営層と話し合いましょう。これにより、定例会議の“言語”が揃います。
・期間を先に設定する。
アイデア育成 → 新規事業部門移管 → 基幹事業部門への承継とバトンを繋げられるのが理想形です。そのため、あらかじめデッドエンド「〇〇ヶ月経過ごとに基準値に当てはまっているかどうか?」と言うふうにタイムリミットと達成基準を決めておくのです。
基準に達しなければ、いったん保留し、次のアイデアに向かう。自分が手掛けた事業・アイデアには、愛着があり、正しい判断ができなくなるものです。そのため、客観的・定量的な期限を設けて置くことをおすすめします。マラソンの関門のようなイメージです。
このサイクルが回り始めると、基幹部門は安定収益を守りながら新規の芽を受け入れ、新規部門は数字を磨きつつ基幹に引き渡す準備を進め、アイデア育成は失敗を糧に次の種を撒き続ける。まさに “3×3モデル” の歯車がかみ合っていくでしょう。
終わりに:社内抵抗を資産に変える
もし、あなたの組織で「アイデアはあるのに形にならない」という声が上がっているなら・・・
まずは 3人チーム を作り、
次に 3層組織 の視点で評価指標を見直してみてください。
たったそれだけで、止まっていた歯車が驚くほど軽やかに回り出すはずです。
一方で、「うちなんて、中小零細企業だから・・・」とあきらめモードの担当者も多いのではないでしょうか。
いつも私が、お伝えしているのは、
「部や課を3つに分ける必要は、ありません。担当者ひとりひとりに役割を分けて与えられれば十分です。もし、それも無理なら曜日ごとや時間帯ごとに担当者の時間を3分割にするところから始めてください」です。
新しい挑戦に抵抗はつきものですが、悲観するだけでは成長はありません。実は、その抵抗こそが会社や組織に多様な視点をもたらし、持続可能性を高めていると考えてください。
あなたの組織でも、“3×3”のシンプルな設計図を掲げ、次の一歩を踏み出してみてください。
もし、最初の一歩が踏み出せないでいたり、途中で挫折しそうになったら、お気軽にお声がけください。
一緒に、解決の方向性を探りましょう!
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それでも、モヤモヤが解消しない場合は、ぜひ一緒に考えさせていただきたいです。
コラムのご感想や具体的なご相談はこちらから、お気軽にお聞かせください!
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。






