みなさんこんにちは!
大阪・堺で「経営のモヤモヤをワクワクに変える!」をビジョンに、みなさまのちょっとした変化を応援しています。中小企業診断士の山本哲也です。
本日は、私たちが力を入れて取り組んでいる”新規事業開発”について書いてみました。拙著「ストーリーで学ぶ新規事業開発」に誌面の都合で書ききれなかったことなどを補足したコラムになっています。
と言っても新規事業に限ったお話ではなく、会議の運営・コミュニケーションが本日のテーマです。
「会議は嫌い」
「時間の無駄」
「できれば欠席したい」
などなど多くのビジネスパーソンから嫌われている「会議」。その原因は、「会議は、つまらないもの」という先入観や、会議や議論の進め方に問題があるのではないかなぁと感じています。
このコラムがそんなたくさんの皆さまの会議改善のヒントになれば幸いです。
会議の“本来の機能”を取り戻す
「会議をしいてるのに進まない」
「決裁の場ばかり増えて、議論の場がない」
新規事業に限らず、そんな声はどの会社でも耳にします。ではなぜ、会議は、いつも悪者になってしまうのでしょう?
私は、きっと設計を見直し、発散と収束を意図的に切り替えることなどができれば、きっとみんなに好かれる会議に生まれ変わることができるのではないかなぁと考えています。
会議は「場づくり」で8割決まる

新規事業は、正解がひとつに定まらない領域です。だからこそ、異なる視点が出会い、試行錯誤が許される場を先にデザインする必要があります。
年齢・性別・価値観の異なるメンバーが集まり、自由に意見を出せるときにこそそのチームが本来持っている創造性が跳ね上がるはずです。逆に、上司がその頭の中に持っている答えをクイズのように“当てる”空気では、学びもスピードも止まってしまうのではないでしょうか?
でも、多くの会議をつまらないもので変な緊張感に包まれた時間にしている原因のひとつには、「座長・ボスの考えを言い当てるゲーム」になってしまっている。
なぜ、そのような状態が生まれているのでしょうか?また、そのゲームはどうやって終わらせればよいのでしょうか?
まずは「発散」から始めて、あとから「収束」させる
実は、議論の質は、モードの切り替えを行うことで簡単にアップさせることができるのです。モードの切り替えと言うと難しく聞こえるかも知れませんね。
先に結論をお伝えすると
「①会議を前半と後半でモードを分ける。②前半は発散として、後半は収束と設定し、発言のモードを制限する」です。
もう少し詳しくお伝えしますね。
発散のモードでは「数と多様性」を重視し、良し悪しの判断は、先送りします。
収束のモードでは「選択と決定」に集中し、次のアクションを決め切る。
たったこれだけなのです。
会議をこの二つの時間に区切るだけでも十分に良い時間・良い議論が生まれるはずです。
例えば、こんな声掛けをするイメージです。
「今から〇〇の課題に関するブレインストーミングを行います。
今日は決めません。
自由な発言を歓迎します」と宣言する。
たったこれだけで、発言の量も質も変わります。
もちろん、魔法や催眠術を使うわけではないので、すぐに劇的に変わるわけではありませんが、このような運営にするだけで、どんな硬直した組織でも徐々に変化していくはずです。
心理的安全性は“異質な一言”から生まれる
進まない会議ほど、無難な発言が並びます。
拙著「ストーリーで学ぶ新規事業開発」では、子育て中の時短勤務スタッフの何気ない一言が、膠着した議論を動かしたエピソードを紹介しています。
実は、これは、リアルエピソードなのです。当事者(ビジネスで解決すべき問題を抱えているひと)の実感は、ときに定説を軽々と更新します。
だからこそ、参加者が“正解を外しても叱られない”場のルールが必要です。発散フェーズで出た案は、決めつけずにいったん受け取り、評価は後で。これが心理的安全性の第一歩です。
とはいえ、初めはなかなかうまくいかないものです。
私はお仕事柄、ファシリテーションをさせていただくことも多いのですが、以下はよくある光景です。
自由闊達(じゆうかったつ)な議論が始まり
いい雰囲気になってきたなぁ
その調子、その調子〜と考えていると・・・
たいてい

「えっ、ここでその発言?!」なんてことが…
横から飛んできます。ファシリテーター泣かせです(笑)
でも、安心して下さい。これには、対策があります。
ファシリテーター:
「〇〇という考えですね。どのあたりに一番関係が深そうでしょうか?」
参加者:「うーん・・・」「シーン・・・」
ファシリテーター:
「では、いったんこちらのパーキングエリアに一時駐車しておきましょう。
良いですか?」と
模造紙やホワイトボードの隅の方に、その意見を書き留めておくようにしています。
これによって発言者を否定することなく、進行中の議論に水を指すこともありません。ぜひ、使ってみてください。
ここで大切なことをひとつお伝えしておかなくはいけないのですが・・・
決してファシリテーターの独断で決めないことです。ファシリテーターが、議論の内容を判断してはいけません。
それでは、これまでみんながつまらないと考えた会議と同じになってしまいます。
「どんな意見も取り残さない、除外しない」これが絶対条件なのです。
ブレストを機能させる「5つの約束」

それでも「なかなか会議の雰囲気が変わらない・・・」と、お嘆きのリーダーのみなさんのために、ちょっとした運営ポイントや、現場で使える言い回しを考えてみました。
次のようなメモを会議の冒頭に読み上げたり、資料の1枚目に常に入れておいたりすると、「なんか、これまでと違うな。」と、参加者にも伝わるのではないでしょうか?
1:「奇抜歓迎!」前例のない案も歓迎。「的外れ」は存在しません。」
さらに、付箋に無記名でも良いというルールを追加すれば、さらにいろいろな意見が出やすくなります。発散の時間帯は、質より量が重要です。
2:「乗っかり推奨! 他人の案に足したり引いたり、順番を変えたり、質問するだけでもOK!」
このように提案することで、議論の方向性が定まります。一方で、既定路線にはまりすぎないよう、発案者の“原型保存”にこだわらないように、既出のアイデアに足したり引いたり、順番を変えたり、疑問を呈することがポイントです。
3:「質より量!」
先にも書きましたが、まずは数が重要です。テーマを限定し(例「休日の子育てで困ることを10個」)、かつ、「制限時間は10分です!」などと宣言して一気に出してもらうなどのテクニックも有効です。
4:「評価は後回し!」発散中は判断・講評・“それ良いね”の優先づけもNG」
これは、上位者ほど要注意です。本人にとっては、自然に出た言葉でも、一般スタッフからすると上位者・管理職の言葉は、重いのです。何気ない一言が元のつまらない会議へ逆戻りスイッチになってしまいます。
例えば・・・単に共感を示してあげたいという思いから出る「いいね」なども同じことです。心当たりがある管理者も多いのでは?
5:「議事録は最低限でも必ず!」
堂々巡りを避け、次回の起点を明確にします。付箋をそのまま写真に撮って共有でも十分ですし、録音⇒文字起こし⇒議事録メモ作成はAIの仕事になっていますから、大きな負担のない程度に記録を残しましょう。
次の会議の冒頭で、アイスブレイクもかねて、前回の議事録を振り返るところから始めるのも良いアイデアではないでしょうか?
よくある落とし穴と対処法

落とし穴①: 上司の「それいいね」が早すぎる。
善意の称賛も、実は評価の開始です。以降の発言が同系色になり、出てこなくなります。発散中は無色の相槌(「受け取りました」「次お願いします」)で統一。
落とし穴②: 「自由に出して」で丸投げ。
テーマと制約が曖昧だと、出るのは常識論ばかり。問いを具体化し、時間と枚数で上限を設定しましょう(例:「来店前の“待ち時間”に限って10個」)。
落とし穴③: 議事録が残らない。
「良い話だったね」で終わる典型。
最低限、写真+3行サマリ(気づき/決めたこと/次回までにやること)は必須です。
落とし穴④: 収束に移れない。
アイデアは出たのに、次の一手が決まらない。
ドット投票で優先3件を選び、検証方法(ユーザーインタビュー/A-Bテスト/価格テストなど)に落とすまでを“会議の成果”に定義します。
おわりに─“語り合う力”を取り戻す
新規事業に限らず現場に必要なのは、正しさを競う場ではなく、学びを増やす場です。
発散と収束を切り替え、心理的安全性を土台に、奇抜さと実務を往復する。その活動の積み重ねは、組織の競争力になります。次の会議で、まずは冒頭メモを読み上げてみてください。きっと、場の空気が変わります。
一方で、会議の運営や変革は、ファシリテーターひとりの仕事ではありません。
理解者を少しづつ増やしていくことも大切です。
以前の職場では、ファシリテーターを養成する研修を実施し、資格者は、他部門の会議に呼ばれてファシリテーターを務めるなんておもしろい制度も導入していました。もし、参考になれば幸いです。
最初の一歩が踏み出せなかったり、途中で挫折しそうになったときは、どうぞお気軽にお声がけください。一緒に、解決の方向性を探していきましょう。
コラムのご感想や具体的なご相談は、こちらからどうぞ。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。






