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SDGsとCSRとCSVは、三角関係でぎくしゃく?

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SDGsとCSRとCSVは、三角関係でぎくしゃく?

最終更新日:2022/05/04

  このコラムは、「SDGsについて関心があるけど、イマイチ全体像がわからない。」「SDGsっていったい何ができるんだろう」「SDGsってビジネスにどうやって活かすんだろう」という、当たり前の疑問を抱えて、モヤモヤしているみなさまのためのものです。
不定期に小さな記事を少しずつリリースしています。
なぜなら、私自身がお客さんから「SDGsって何からやればいいの?」って聞かれて困ったことが過去にあるからです。ぜひコツコツ一緒に学んでいきましょう。
 最近は、多くの事業者がSDGsを事業再構築補助金を活用した新規事業開発のヒントにしています。まずは、知ることから始めましょう。

▼ずばり、この3つは、いったいどこが、どう違うのか?!

まずは、結論から。“CSR”と“CSV”は、あくまで考え方のことを指しています。一方でSDGsはと言うと、持続可能な開発目標という日本語訳の通りで目標です。平たく言うと「2030年まで17の取り組みを達成するぞー!」という取り組みの名前です。

今回は、経営に関する考え方である“CSR”と“CSV”についてじっくり紐解いていきましょう。

▼CSRとは、”企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任”のこと

まずは、“CSR”から。CSRとは、「Corporate Social Responsibility」の頭文字をとった略称です。日本語では、企業の社会的責任と訳されています。企業のホームページなどを見ていると、ボランティアや寄付など世の中の役に立つこと全般をCSR活動と表現していることがあり、最近はこのあたりもCSR活動と呼ぶことが増えています。

では、「企業の社会的責任」とはなんでしょう?昔はよく「企業は社会の公器」と言われ、企業人には高い倫理観が求められてきました。つまりCSRとは、一言でいうとこのように「社会の一員としてきちんとしましょう。」ということです。企業は、消費者だけでなく、取引先や投資家、社会全体と密接につながって事業を行っています。それらの方々に対してご迷惑をかけることのないよう、法令遵守はもちろんのことビジネス以外のシーンにおいても貢献していこうという考え方ですね。

このCSRですが、日本でのそもそもの始まりは、1956 年の経済同友会のCSR決議だそうです。

「経営者の社会的責任の自覚と実践」

「そもそも企業は、単純素朴な私有の域を脱して、社会諸制度の有力な一貫をなし、その経営もただ資本の提供者から委ねられておるのみでなく、それを含めた全社会から信託されるものとなっている。」

「現代の経営者は、倫理的にも実際的にも単に自己の企業の利益のみを追うことは許されず、経済・社会との調和において、生産諸要素を最も有効に結合し、安価かつ良質な商品を生産し、サービスを提供するという立場に立たなくてはならない。・・・経営者の社会的責任とは、これを遂行することに外ならぬ。」

経営者の社会的責任の自覚と実践

▼CSVとは、”売り手よし・買い手よし・世間よし”のこと

「CSV」とは、「Creating Shared Value」の略で、日本語では、「共通価値の創造」と訳されており、企業が事業を通じて社会的な課題を解決することで創出される「社会価値(環境、社会へのポジティブな影響)」と「経済価値(事業利益、成長)」を両立させる活動のことをさしています。

これは、マイケル・ポーター博士が提唱した考え方です。社会課題の解決はビジネスにつながるし、課題解決をビジネスでできれば、問題を抱えている社会もマネタイズできる企業も、またそこに働く人たち全員がwinwinになれるよね!という考え方を指します。

ひょっとしたら、今や、当たり前すぎてピンとこない方も多いかもしれませんね。しかし、数十年前までは、工場は廃液や排煙で環境汚染をすることは当たり前でした。「商売と屏風は曲がらなきゃ立たない」といって「ビジネスの世界ではちょっとした嘘は当たり前で、だまされる方が悪いんだ」という社会でした。

このCSVと言う言葉も最近取りざたされている新しい考え方のように感じている方も多いかもしれませんが、日本では昔から近江商人が大切にしていた精神と同じものです。現在では伊藤忠商事などの企業理念としても知られている「三方よし」です。つまり、「社会性と事業性はトレード・オフではなく、両立できるのだ」という考え方なのです。

▼私たち小規模事業者がSDGsに取り組むべき理由はたったひとつ。

理由は、みんながこの問題に取り組むからです。それとも乗り遅れたいですか?
まず、そもそもこのブログを見ていただいてるということは、あなたは、すでにSDGsに関心があり、取り組む必要性を小さくとも感じているのではないでしょうか?
そして、その原因は、毎日目を通す新聞やテレビ、電車の中吊りなどで目にする機会が増えたり、取引先や経営陣からのなんらかの情報発信を耳にしたからではないでしょうか?

本来的な理由は、国連のページや専門書籍で学んでいただくとして、我々小規模事業者が取り組むべき理由は、このように身の回りのビジネスパートナー(お客さま、取引先、従業員、家族などなど)の関心が高まっているからです。

これから、2025年の大阪関西万博の準備が進むにつれて、ますます機運は高まってきます。例えば、朝日新聞電子版 “SDGs”と検索すると1,640件ものニュースがヒットします。一方で日経新聞電子版でさらに多い2,148件がヒットします。つまり、SDGsは、環境面や人権面ばかりクローズアップされていますが、ビジネス関連ワードでもあるのです。

このようなところからも、外部環境に順応して生き残っていくためにも「詳しくは徐々に勉強するとして、とにかくついて行かなきゃならない」テーマだと私は、確信しています。

この流れに反発してよいことがあると思えますか?ないですよね。では、引き続きなんとなく理解できるように学習を進めていきましょう。

▼まとめ

いかがでしょうか?人間って案外素晴らしい存在だと思いませんか?!

経済同友会がCSRの考え方を宣言してから50年。企業は、だいたい10年に一度大きな不祥事や間違いを起こしますが、その都度、更生してきました。また、周りの企業は、明日は我が身とばかりに再発防止に取り組んできました。このように人間は、正しい考え方を学んで進歩する生き物なんだなぁと思うと、未来への希望が湧いてきます。

いまは、社会にまだまだたくさんの問題がありますが、おそらく、数十年も経てばこれらの問題は何か技術やビジネスの力によって解決されている可能性が高いのです。すごいと思いませんか?!

私たち、小規模事業者もその一助になれると思うのです。

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

中小企業診断士 山本 哲也

もし、自社でもSDGsを取り入れた新規事業を検討してみたい。とお考えでしたら、一度お会いして(ZOOM対応)お話をしましょう。(無料です。)