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家事支援サービスの2大ビジネスモデル、ポイントはお金の使い方

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家事支援サービスの2大ビジネスモデル、ポイントはお金の使い方

最終更新日:2023/11/01

近年、家事支援サービスが注目されています。
その理由は事業者視点で…

  • ・既存の顧客ネットワークに新規事業として提案できる。
  • ・代行業市場全体の将来性を見通して参入すべきと判断した。
  • ・初期投資が小さく、撤退も容易のため参入障壁が低い。

などです。

一方で、顧客側がサービスを利用する理由としては…

  • ・コロナ禍で在宅勤務が増えたことで、おうちが汚れたり、散らかったりすることが増えた。
  • ・単身者や高齢者の増加
  • ・家事を外部に依頼することへの抵抗感の減少

などとなっており、変化が起こっています。

私が、ハウスクリーニングの現場にいた頃は、お客さま宅への出入りは裏口からこそっと。
サービスカーは、お家から遠いパーキングへ、というのが鉄則でした。理由は、近所の目があるから。

単身者が代行サービスを利用する時代がとうとう来たか。そう考えると、少し感慨深いものがあります。

本日は、お掃除や炊事などの家事支援サービスを通してみるビジネスモデルについて一緒に学んでいきたいと思います。

出所:矢野経済研究所 WEBサイト

ビジネスモデルとは

「ビジネスモデルとはなんでしょうか?」よくお受けする質問のひとつです。前後の文脈でその答える内容は多少変化しますが、私の答えは大体決まっています。

「どこの誰の課題をどのように解決して、継続して収益を上げられるビジネスなのかを明らかにすること」です。

近年、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、新しいビジネスモデルが次々と生み出されています。既存のビジネスを理解したり、新しいビジネスを考えたりする上では、一連の取引を小さな部分ごとに切り分けて、考えることが理解を深めるポイントです。

家事支援サービス:低料金型ビジネスモデルのポイント

家事支援サービスを低料金型のビジネスモデルで展開するのであれば、どうしても人件費を抑える必要があります。なぜなら、家事支援業のコストの大半は人件費。50%~70%を占めている事業者が多いとみられます。低料金型サービスで顧客に貢献するためには、検討すべきポイントがたくさんあります。

ここでは、その中でも、“スタッフの確保”“人材育成”“稼働率”の3つの切り口で考えてみましょう。

求人媒体にかかるコスト

1点目として挙げられるのは、求人媒体にかかるコストです。

理想のスタッフを集めようと考えすぎて思考停止となり、とにかく求人広告費に予算をつぎ込む担当者がいます。

「うちのような小規模企業にはなかなか良いスタッフが来ない」

「人手が足りないから自分で現場に出るしかない」

というような声も聞こえてきます。

しかし、求人広告に費用を多くかけても事態は好転しません。責任者がサービスに伺うことで、短期的にお客さまとのコミュニケーションも密になり、本人としても疲労感とともに充実感が得られるでしょう。一方で、事業継続に不可欠な営業活動や、スタッフへの教育、大切な自分のプライベートがほったらかしになってしまってはいないでしょうか?

ここで大切なのは、応募者の気持ちに寄り添い、彼らを顧客として捉える発想の転換です。落ち着いて考えれば、当たり前の話ですが、応募者はとにかく時間給だけを比較して応募してくるのではありません。

応募者それぞれに働くための条件や、好みがあります。時給や広告費にかけていた投資を働きやすい環境づくりに振り向けたり、お客様の予約やシフトの見直しを行ったり、働きやすい時間帯に働いてもらえるように工夫をするだけで人の集まり方は変わります。また、積極的に仕事を探していない人向けに求人チラシやスタッフや知人への紹介依頼も効果的です。

最近は、採用活動の相談が急増しており、とてもここだけでは書ききれないので、このトピックはまた、別の機会でまとめるようにします。

人材育成にかかるコスト

2点目として考慮すべきは、人材育成にかかるコストです。

サービススキルが高いスタッフを退職させず、つなぎとめるためには相当の努力が必要です。また、新人さんが一人でサービス提供ができるようになるまでは、教育係のスタッフの人件費も必要なので、通常の2倍以上の人件費が発生します。これらの解決策としては、ベテランや特定の個人にできるだけ依存しないチーム作りがポイントです。ここは、長期的な視点に立ち、一定期間で人材が流動できるようマニュアルの整備などに労力をかけることをお勧めします。

稼働率の低下

3点目は、稼働率の低下です。

これは、移動時間や待機時間、準備片付け時間などの非生産的な人件費です。これらにかかる人件費には売上が伴いませんので、事業の人件費比率を急激に悪化させます。

人事制度の面では、日給支払い制や歩合給制度や、仕事の分業化で効率を向上させ、残業ゼロを目指すという解決法が検討できます。一方で、売上面で考えると、拠点近隣の顧客を優先的に獲得する方法があります。

仮に訪問手段が自動車しかないと考えた場合、売り上げに貢献しない移動中の人件費が発生します。例えば、2名で片道30分のお客様への往復の対応時間は1時間。2名ですから2時間分の人件費が発生することになります。加えて、人件費以外に車両関連費用が固定費として発生しますし、事故や交通違反のリスク、自動車の運転ができるスタッフの採用も考えておく必要が生まれます。自社とスタッフ、お客さまも含めたビジネスモデル全体のバランスを考えて解決策を検討してみましょう。

家事支援サービス:プレミアム料金型ビジネスモデルのポイント

一方で、他社よりも高いプレミアム料金を設定し、人件費比率を下げつつ、顧客満足を高めるビジネスモデルもあります。

こちらは、人件費以外のところに対して料金に見合う投資をする必要があります。ここでは、人件費以外の投資先として代表的な3つの切り口で考えてみましょう。

ヒトへの投資

1点目は、ヒトへの投資です。

と言ってもお給料ではなく第一印象の改善です。メラビアンの法則によれば、「人は判断の物差しとなる情報の55%を視覚情報から得ている」のだそうです。つまり、顧客からの信頼を勝ち取るためには、視覚的な要素に投資を行うことが近道と考えられます。

具体的には、ユニフォームや接客マナーなどです。ユニフォームの管理は、会社管理とし、常に清潔なものを着用できる環境を整えます。接客マナーでは、日々のトレーニングなどの取り組みはもちろん必要ですが、店内や車両内の掲示物など、常に目が触れるところでメッセージを発信することも効果的で

す。

サービス機材への投資

2点目は、サービス機材への投資です。

ユニフォームと同様に車両や機材・備品なども、サービス提供前に顧客の目に触れる重要なものです。これらがきちんと整備されていると顧客の期待も高まり、料金設定に大きく好影響を与えます。例えば、レストランに当てはめると、いくら料理がおいしいからといって、内装やお皿、接客の質が低ければ満足できないし、プレミアム料金を出す気にはなれないのと同じことです。

情報提供への投資

3点目は、情報提供への投資です。

ホームページやパンフレットなどの販促物に始まり、電話での問い合わせに対する応対マナー、アフターフォローなど顧客に寄り添ったきめ細やかな情報提供が重要です。レストランの例でいうと、どのような産地の食材に、どれくらい手の込んだ調理を施しているのかといった情報提供が、プレミアム料金のお店では求められることに似ています。

つまり、顧客とのすべての接点で期待を上回るサービスを提供することが、プレミアム料金を設定する鍵となります。 いずれにしても魔法のような解決策はありません。日々の積み重ねの中からこそ、価値は、生み出されるのです。しかし、大変なばかりでは、ありません。このような価値は、継続した取り組みによって定着し、企業文化を醸成することに繋がります。

サービス業の商品は昔から変わらず今も“ヒト”

いずれのビジネスモデルであっても、サービスの提供者は「スタッフ」という一人の人間です。いくら教育に時間を費やしても、仕組みや機材に投資をしても、私たちの提供価値は、スタッフの一挙手一投足にかかっているのです。つまり、常に高いサービス品質を提供できるようなモチベーション管理がサービス業で成功する重要な要素ということです。


ESという言葉を聞いたことがあるでしょうか?エンプロイーサティスファクションの略で、従業員満足という意味で使われています。顧客満足を高めるためには、まず従業員満足を高める必要があるという考え方です。詳しくは、人や組織のところで触れますが、サービス業全般で大切すべき考え方です。

まとめ

今回は、同じ家事支援サービスにも、低料金型のビジネスモデルとプレミアム料金型のビジネスモデルがあり、その費用構造や考え方など両者の違いを生み出す要因についてお伝えしました。どちらのタイプに取り組むかは対象市場や経営者の考え方次第です。

サービス業の生産性が低いことは、長年のわが国の課題です。個人的には家事支援サービス各社が低料金を競うのではなく、知恵を絞って、付加価値を競う世の中になってほしいと考えています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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