最終更新日:2024/04/06
みなさんこんにちは!
最近こんなお悩みをうかがうことが増えました・・・
「SDGsに取り組まないといけないことは分かるが・・・。それだけの体力(人材、設備、資金、ノウハウ)がうちにはないから・・」
「SDGsはどこからやればよいのか?どこまでやればよいのか?」
「SDGsは、そもそもつかみどころがなくて分かりづらい」
どのお悩みも「なるほど。そうですよねぇ」と感じるものばかりです。
先日、兵庫県にて、「SDGs経営実践セミナー」を実施しました。
ご好評をいただいたのですが、その際の内容も踏まえお話してみたいと思います。
すでにもう取り組んでいるかも!?
でもちょっとお待ちください。
御社の業歴は、いま、どれくらいですか?3年?5年?20年?
もうすでに、SDGsに対応しているかもしれませんよ!
もし、すでに数年以上同じ商品・サービス、ビジネスで事業を継続できているとしたら、それは、すでにSDGs的な要素を伴っている可能性がとても大きいです。
サステナブル経営(SDGs経営)とは?
SDGs経営とは「SDGsをビジネス視点で捉え、自社の商品・サービスを持続可能なビジネスへと転換させる」ことです。私たちは、これを「サステナブル経営」と呼んでおり、これまでの社会貢献活動(CSR)とは、少々別物なのです。
社会貢献活動とは別物と言いましたが、決して社会貢献活動がNGと言っているわけではありません。私の社会貢献活動のイメージは「ある程度事業も軌道に乗ってきたし、いつもご迷惑かけている地元になにか恩返ししたい」や「利益の一部を寄付して税金以外にも社会の役に立ちたい」などです。
つまり、社会貢献活動は、『事業が軌道に乗っている』から取り組むもので、軌道から外れたら「そんなことまで手を出すような余裕はうちにはない」ということではないでしょうか?
サステナブル経営とは、「社会課題をビジネスとして成立させ、社会に貢献すること」や「持続可能な社会に貢献するため、経済的な利益だけでなく、環境への配慮や社会的責任を考慮した経営を行うこと」と考えています。
もうちょっと具体的に言うと・・・
今回のセミナーで紹介した具体的事例企業のお話をちらっとしますね。
以前の製紙会社D社さんは、古紙回収業者から仕入れた古紙にバージンパルプ(木材を材料にして製造した新しいパルプ)を一定程度混ぜ合わせて古紙配合紙を製造販売していました。
その古紙配合紙は、商品パッケージの材料としてやデザイナーからの様々なニーズに応じて加工したり、色味や風合い、厚み、大きさなどを工夫したりして納品していました。
再生紙メーカーとして「紙ごみ0の世界」を作ろう!と考え技術開発に取り組みました。これまで捨てていたような、いわゆる紙ごみも原材料とできるようになり、新商品開発に成功しました。これによるメリットは。。。
売上面では、新商品としてリリースすることで環境省から表彰を受けました。これが、新たな販路、新規顧客開拓に繋がり、新規売上を獲得しました。
原価面では、バージンパルプの投入が無くなり、原価低減を実現しました。また、集めてきた古紙に加工されていたフィルムは、ゴミとして処分せず、固形燃料として他社で活用してもらっています。
一体どうやって?!
サステナブル経営への取り組みは、なにも、いま始まったことではありません。
「近江商人の三方よし」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?「売り手よし、買い手よし、世間よし」です。いわば、「顧客の求めるものを世の中の時流に合わせて提供する」ことではないでしょうか?
SDGs経営(サステナブル経営)では、三方に加えて、次の3つを加えて六方良しが求められています。
・人権の観点からの「作り手の視点」
世間を細分化して
・「未来の視点」
・「地球の視点」
例えば、身近な事例として、洗濯機があります。
大昔、洗濯は、井戸端に集まって手洗いで、井戸端会議をしながらゴシゴシしていました。しかし、女性の家事労働を軽減する狙いで、1930年に第一号の洗濯機が発売されました。当時の銀行員の年収の2分の1ほどの値段でほとんどの人が買うことができなかったそうです。
しかし、その後、女性の社会進出機運が高まり、現在では、女性が専業主婦になってしまったら経済が回らない世の中になりました。
それに合わせるように、先取りするように洗濯機は進化を遂げています。単なる便利で楽なだけではなく、電気や水道などのエネルギーの節減機能も増えたり、多様な衣類に対応できるようになったり、進化を繰り返してきました。この先もさらに進化をするでしょう。
サステナブル経営への取り組み方
このように、社会課題を背景にした顧客課題を未来志向で解決できるように、経営を調整することが私たちが目指すべきサステナブル経営なのです。
私たちは、これまでも自然にやってきたことであって、何も、どこかから落ちてきた新しいものでは決してないのです。
ただ、簡単ではありません。
それは、なぜでしょう?
それは、VUCAの時代と言われて久しいように社会課題がどんどん複雑、かつ、先行き不透明になってきたからです。洗濯機の誕生からここまで成長してきた時代とは少々その背景が違うからです。それは、急速な少子高齢化や人口減少というこれまで世界の誰もが経験したことのない社会がそこまで来ていることなどを考えると理解しやすいのではないでしょうか?
まとめ
とはいえ、打ち手がないわけではありません。
例えば、若手や学生など未来志向の人たちの力を借りたり。異業種異業態の企業と一緒に考えたり。といったいわゆるオープンイノベーションという手法もその打開策のひとつになっています。
また、もっと簡単な方法としては、今回のような商工会議所の集まりを利用して、ブレインストーミングに参加したり、私たちのような外部の人間を巻き込んだり。など、これまでやったことがないことを片っ端から試してみることが有効な手立てとして活用されています。
コロナも終息し、景気も徐々によくなりつつある、いまこそ、新しいチャレンジのタイミングと言えるのではないでしょうか?!
一緒に、モヤモヤをワクワクに変えていきましょう!
次は、みなさまのビジネスにご一緒させてください。
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中小企業診断士
山本 哲也