最終更新日:2023/12/11
御社の活動地域には、どのような顧客層がお住まいでしょうか?
活動地域が違えば住宅事情や家族構成に違いが生まれますし、それによっては、年齢層・働き方などのライフスタイルなどにも違いが生まれ、ニーズも大きく違いが現れます。
つまり、訪問型サービスにおいても、店舗型ビジネスと同じく提供すべきメニューやサービス品質、料金体系など、それぞれの営業地域に応じた対策が必要です。
今回は、家事代行サービスを題材に、訪問型ビジネスにおける付加価値の高め方について一緒に勉強していきましょう。
対応すべきでない全ての顧客ニーズとは?
「得意先に対して満足度調査をしていますか?」
おそらく開店したての頃や新しいお客さま、知り合いなどからの紹介客に対しては、「ご満足いただけただろうか?」「スタッフの品質は、よそと比べて劣っていなかっただろうか?」「事前のご相談は十分だっただろうか?不安に思っておられることはなかったかな?」など、いろいろと心配になり、何度もお客さまに確認しているはずです。また、CSコール(サービス終了後の満足度確認のご連絡)などもしていたでしょう。
ところが、長期契約のお客さまは、ロイヤルカスタマーとでも呼ぶべき存在のはずですが、不思議なことに満足度について確認する機会は徐々に減ってくるはずです。
「いつも愛想よく話してくださるし、きっと100%満足しているはず」「クレームがないから大丈夫に決まっている」「いつものおなじみのスタッフをアサインしているから大丈夫」これって、本当でしょうか?
一方で、引っ越しや新しい家族が増えるなどの特別なご事情でサービスをご依頼くださったお客さま、事前相談だけで失注してしまったお客さまに対しても
「なぜ、繰り返し注文がないのか?」
「なぜ、受注することができなかったのか?」
などの確認を行っている事業者さんがほとんどありません。
広告活動して、新規客を探し回るよりもすべきことはこちらではないでしょうか?
ここまで、お読みいただいてどうお感じになりましたか?
心あたりのある方は、この先もお読みください。
NPS(ネットプロモータースコア)という手法〜
まずは、既存客のニーズに対応する。これが第一優先
あなたは、長いお付き合いのお客さまから、苦情が少ない理由を考えたことはありますか?
もちろんご満足いただいていて、他社サービスを検討することなど考えてもいないお客さまが大半だとは思います。しかし、一方で、最初は不満に思っていたことも時間が経つにつれて、徐々に慣れてしまっているお客さまも少なからず存在するのではないでしょうか?あきらめているのです。お客さま側も我々に100点を望むことは無理だと考えていたり「お互いさまだから」と考えていたりしています。
みなさまも、ご自身の行きつけの飲食店などで、同じような思いをしていませんか?
でも、もし、お客さまの不満のタネが解消したらどうでしょう。さらに関係性が強固になるのではないでしょうか。そうすれば、どなたかに口コミをしていただいたり、ご紹介くださったり、新たなビジネスのヒントを頂けることに繋がると思いませんか?
ここで、NPS(ネットプロモータースコア)という手法をご紹介します。
これは顧客が自店をどれくらいの愛着や信頼を持って、ごひいきにしてくれているかを数値化する指標です。
10年以上前から認知度が高まり、現在は、活用している企業も増えています。
NPSとは、お客さまに対して「自社のサービスの他人への推奨度」を聞く簡単な調査です。
お客さまに対して「あなたがご利用になっている当店のサービスをどなたかにご紹介できそうでしょうか?0点~10点のいずれかの点数でお答えください」と聞くだけ。
家事代行サービスで訪問するたびに小さなアンケート用紙をお渡ししたり、専用のアンケートサイト(google formsなど)をご案内したりするだけで十分です。
分析方法は、たとえば、100人の回答のうち「9~10点」をつけてくださったお客さまが30人で「0~6点」をつけてくださったお客さまが50人だったとします。この場合のNPSでは30-50で「-20」となります。実際には、統計的な観点から、400サンプル以上を確保することが望ましいのですが、私たちスモールビジネスでは、そこまでする必要はないと考えています。
NPSの数値は、不特定多数の人が利用するようなサービスの場合、批判者の割合が大きくなりがちなため、計算結果がマイナスになってしまうことは珍しくありません。なぜなら、お金を支払ったユーザーにとっては、期待外れだったり、怒りだったり、感情体験のほうが、誰かにサービスを紹介しようという気持ちよりも強くなりやすいためです。日本では良いサービスは当たり前となっていますので、感動をするほどの接客やサービスがなければ、高評価はつきにくいといえます。
そのため、NPSの値がマイナスになってしまったとしても、悲観的になる必要はありません。この数値を自店の通信簿として、店内で共有し、向上のための工夫を繰り返すのです。ベテランスタッフの活性化にも役立てることができそうです。
どの顧客ニーズへの対応はしませんか?
顧客満足の向上に取り組む前に、もう一つ検討したいことがあります。
それは、「そのお客さまと当社の相性はよいか?」ということです。つまり、相性のよいお客さまにこそ注力しましょうというお話です。
特に、売上は好調だけれども、収益性に課題があると感じた時には、顧客を選ぶ時期に来ていると言っても過言ではないでしょう。
その解決策としておすすめしているのは、自店のサービスにある程度の自信が持てるような段階になったら、自社の強みを評価いただけるお客さまのニーズに絞って活動しましょう。具体的には、いくら固定客からの要望であっても、対応が難しいニーズが明らかになったら、そこはお断りして、避けて通りましょう。
よほどの大企業でなければ、すべてのお客様のニーズを満たすことは、不可能です。なぜなら、家事代行サービスは、いわゆる労働集約型産業であり、スタッフが商品です、その商品に過度なストレスをかけることは、他のお客さまにストレスをかけることにつながるからです。
例えば、遠方や夜・早朝など、当社にとってイレギュラーな要望などへの対応です。イレギュラー対応が必要なところまでターゲットを拡げて、増やそうとすることで、本当に大切にしたいお客さまを失うようなことが起きたら、本末転倒ですよね。
無理をすることでスタッフの離職率を高めたり、スタッフの労働意欲を損ねてしまうことは避けたいところです。家事にお困りごとを抱え、相談いただいたお客さまを断ることは大変心苦しいことです。また、販促費を無駄にすることにもつながるでしょう。
そこで、私からの提案は、先述の1度ご利用いただいたきりのお客さまや失注したお客さまに勇気を出して、ご連絡することです。すべてが契約にいたることはありませんが、不満の声から学ぶことが次につながるはずです。ぜひ、取り組んでみてください。
メニュー開発はお料理と同じ?!
ここまで、既存のお客さまの満足度を高め、そのためには、お客さまを見極めることが大切。というお話をしてきました。ここからは、大切にしたいお客さまの未対応のニーズに対して新しいメニューを開発しようというお話です。
開発というと何かの実験やモノづくりのイメージを持たれるかもしれませんが、サービス業においてもモノづくり同様に仮説や検証を行うことが大切なのです。
具体的な手順は、次の通り。
1:まず、仮説を立てます。
これも、お客さんとの会話からヒントを得ることができます。アンケートやスタッフからのヒアリングを行い、情報収集から始めます。
2:次に、検証活動です。技術的な面は、自宅やスタッフのお宅などでテストをしながら設計していきます。
そして、顧客に提供できるレベルになれば、最初は、懇意にしているお客さまに提案をしたり、シーズンメニューなどのキャンペーンとして展開します。
そして、顧客からのフィードバックを受けて、サービス内容や料金の見直しを行います。手ごたえを感じたら、本格的にメニューに加えてもよいですし、オプションやシーズンメニューとしてデビューさせましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私たちのスモールビジネスにとって、得意先さまからのクレームやフィードバックは、経営コンサルタントの助言よりも重要かつ大切な情報源です。アンケートのお礼品などを用意して、すぐにでも取り組んでみてください。
また、今回紹介したNPSやCSコールなどに加えて、責任者自身が直接お客さまのお話を伺うことをお勧めします。
経営改善に活かせるヒントが必ず見つかることでしょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。なにか、新しい取り組みをお考えでしたら、ぜひお声がけください!
以前の「家事支援サービス」に関する記事もご参照ください。